特定商取引法は、訪問販売や通信販売等、トラブルを生じやすい特定の取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと消費者を守るルールを定めており、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止するとともに、消費者の利益を守るための法律です。

具体的には、勧誘開始前に事業者名や、勧誘目的であることなどを消費者に告げるよう業者に義務づけており、さらに虚偽の説明や、価格・支払い条件等の重要事項を故意に告知しなかったり、消費者をおどして困惑させたりする勧誘行為を禁止しています。

業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務づけ、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。

また、契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務づけています。

さらに、消費者と事業者との間のトラブルを防止し、その救済を容易にするなどの機能を強化するため、消費者による契約の解除・取り消しなどを認め、事業者による法外な損害賠償請求を制限するなどのルールを定めています。

契約の解除とは、クーリングオフと呼ばれ、申し込みまたは契約後に法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間内に、消費者が冷静に再考して無条件で契約を解約することです。

意思表示の取消しとは、事業者が不実の告知や重要事項を故意に告知しなかった等の違法行為により、消費者が誤認した状態で、契約の申し込み、または承諾の意思表示をしてしまったときに、消費者がその契約や承諾を取り消すことを認める制度のことです。

 

トラブルを生じやすい特定の類型には、「訪問販売」「通信販売」「電話勧誘販売」「特定継続的役務提供」「連鎖販売取引」「業務提供誘引販売取引」の6類型が有り、その他に、販売業者が勝手に商品を送りつけ、返品しないと購入したとみなして請求する「ネガティブオプション」の規制があります。

 

訪問販売は、自宅へ訪問して行う取引ですが、路上でのキャッチセールスや、電話等で販売目的を告げないアポイントメントセールス等も含まれます。

通信販売や電話勧誘販売は、文字通りの取引です。

連鎖販売取引とは、マルチ商法、ネットワークビジネスなどと呼ばれることが多く、個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形態で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・サービスの取引です。

特定継続的役務提供とは、長期・継続的なサービスの提供と、これに対する高額の対価を約する取引のことで、現在、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6つの役務が対象とされています。

業務提供誘引販売取引とは、「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引です。